相性占い


 ハルヒが皆をパソコンの近くに呼び寄せて、いったいなんだどうしたと思ってみれば、
 ウェブ上で出来る相性占いをやってみよう――いや、やるのよ! という事だった。
 まぁ暇潰しにはなるか。付き合おう。どうせ俺以外の三人は辞退なんてしないし。

「じゃ、まずはキョンと有希ね」
 かたかたかた、とハルヒがボードを叩いて俺たちの生年月日――長門のは日付以外は勿論捏造ではあるが――やらを入力していき、結果は、
「――二人の相性度は70%。まわりもうらやむ熱々カップルレベル」
 ……結果は、モニタに表示さらた数値を見るなり黙り込んだハルヒに代わり当人の長門が読み上げた。
 そして長門はモニタから俺に視線を移し、微かに目尻を下げ口元を緩め――確かに微笑んだ。危うく見惚れるところだったぜ。スマン嘘。ちょっと見惚れた。
「あー何ていうか……、長門、これからも宜しくな」
「そう」
 ハルヒが黙り込み、古泉が冷や汗を垂らし、朝比奈さんがぷぅーっと膨れ面をしている理由は分からないが……うん、正直、照れる。

「次ッ! キョンとみくるちゃんよ!」
 沈黙していたと思ったら雄叫び一線。ハルヒはガタガタとボードが気の毒なほどに荒いタイピングで朝比奈さんの生年月日――勿論本来のものではなく擬装の為のものだろう――を入力し、結果は、
「えーと、二人の相性度は80%。……お、おしどり夫婦レベル、ですかぁ」
 ……結果は、また黙り込んだハルヒの代わりに当の朝比奈さんが照れつつ読み上げた。
 そして「夫婦だなんて、そんなぁ」と頬に手を添えて桃色の歓声を上げつつ、ちらりと俺を見て目が合うと、「ふみー」なんて言いつつ顔を赤くなさるものだからこっちから視線を逸らしてしまうだろう普通。可愛らしすぎて正視に耐えない。しまったカメラがあれば。
「キョンくん。ふ、ふつつかものですが、これからも宜しくお願いします」
「え、えぇ。こちらこそ」
 ハルヒが黙り込み、古泉が半べそをかき、長門が暗黒面のフォースにとらわれたような無表情をしている理由は分からないが、……うん、正直嬉しいです。


「一応私とキョンもやるわよ! 流れで一応ね! これ重要っ! その辺理解してよねキョン!」
 うががーっ!
 再び沈黙していたと思ったら、大口径の大砲の砲撃音のような喚声を上げ、ハルヒは俺をずびしと指差した。指の先から霊力の丸い塊りが発射されそうで思わず身構えてしまうほどの指差しだ。
 某うらめしな人は銀河の彼方に置いておくとして、どうして不機嫌なんだハルヒ。あといったい何が重要なのか教えてくれ。俺は何を理解したら良いんだ。
 ……などと言おうものならややこしい事になりそうなので黙っておくことにする。
 ハルヒはパイルバンカーの如く勢いでボードを殴りつけるように自分の生年月日を入力していき、結果は、

「二人の相性度は120%。何度生まれ変わっても必ず、む、むむむ結ばれる運命にある奇跡のレベル……」

 ……なんていうか物凄い事が書いてある結果は、ハルヒがゆでたタコに赤いペンキを塗りたくったような顔でどもりつつしずしずと読み上げた。
 そしてブリキ人形のようなグギグギとしたぎこちない動きで、髪の毛をかきあげると、
「な、何よこれ。こ、ここ壊れてるんじゃないの、あ、あはは」
 そう言って無理矢理気味に笑ったが、俺も他の誰も笑わなかった。
 ただ古泉だけがあからさまに安堵したような溜息を吐き、胸を撫で下ろしていた。
「……えーと、ハルヒ」 
「な、なによ」
 そんな顔や眼や声で凄まれても背筋がぞわっとなるくらい可愛らしいだけで迫力皆無だぞ。正直現在進行形でぞくぞく来てる。
 なんて骨が融けそうな台詞なんて言えるはずもなく、

「俺って運命とか奇跡とか、そういうの信じる性質なんだ」
 
 俺はハルヒにそれだけ言うのが精一杯で。
 長門が無表情でハードカバーの本をへし折ったのにも朝比奈さんが笑顔ででかい舌打ちをしたのにも気がつかなかった。……うん。幸せなのか不幸なのか分りません。
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by kyon-haru | 2006-11-09 11:46


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