なにこれ!

 僕は古泉!
 朝おきたらチンコが五本に増えていた!
 
「バナナみたいですね」
 まさにバナナみたいです。
 とりあえず左端から
 お父さんチンコ、お兄さんチンコ、おじいちゃんチンコ、弟チンコ、一樹チンコ
 と呼ぶことにしましょう。
「っと、尿意を催してしまいました」
 朝ですからね。寝ている間に溜まるのは自然です。
 僕はトイレに赴きました。

「ブ、ブルスコォ!」
 ま、まさか五本すべてから尿が放たれるとは!
 予想ガイでした。放尿時間も五分の一に短縮です。
「モルスァ……意外に便利かもしれませんね」
 トランクスにお父さんと一樹が収まりませんが。
 ブルブル振れば眺めは爽快。
 あ、それ。ぺちんぺちん。
「何やってるんでしょうか、僕」
 とにかく誰かに相談しましょう。
 
「キョンターン!」
「キモっ!?」
 あ、血液が……?
「シュペルエタンダァール!? モッコリモリモリシーカーハリケーン!」
 ぬおおおお!
 説明しよう!
 急激に血液が下腹部に集中したことにより、上半身の血液が減退。
 僕は一時的なブラックアウトを引き起こしたのです! 


 私は長門有希。
 朝起きたらケツ毛が異常に伸びていた。

「バーガー……」
 このままでは下着を身に着けられない。
 剃る。剃る。剃る。
 生えてくる。生えてくる。生えてくる。
「……ロッテリアーン」
 どうやら無限に増殖するようだ。
 しかし一定以上の長さには伸びない。唯一の希望だろう。
 だからといってこのままではこの星この国の憲法に違反してしまう。
 猥褻物陳列罪だっただろうか。確かそれだ。

「一毛打尽にする」
 上手いこと言いながら私は、チャッカメンを手に取った。
 ケツ毛にサラダ油をしみこませ、一気に点火。
 ファイアー。
「あちっ、あつっ」
 ボボボボボボーボボーボボ!
「長門さん! 何やってんの!」
 涼子はんが手からウルトラ水流を発射した。
「やめて。趣味じゃない」
「おばか!」
 消化されてしまった。しかし毛は燃えた。 
 毛は燃えたがお尻の対熱皮膚装甲がこげた。
 こんがりだ。
 しかも燃やし尽くしたというのにまた生えてきた。
「……モスバーガーン」
「強く生きようね。私は味方だからね」
 笑いながら言われても説得力がない。


 あたしの名前は涼宮ハルヒ!
 朝起きたら右手が細木数子になっていた!

「ずばりいうわよ!」
「うるさい!」
「あんたそんなガキっぽい下着つけてたら男にもてないわよ!」
「だまれクソババァ!」
 やかましいったらありゃしない。
 しかい待ちに待った不思議現象なので悪い気はしない。
 けどムカツクので、犬の糞に右手をつっこんだ。
「ずばりいうわよ!」
「なによ」
「けっこう美味しいわよ!」
「うそつけ」
「あんたスカトロ趣味なんてマトモな男いないわよ!」
「だまれクソババァ!」
 文字通りクソまみれ。
 あたしの右手だけど、キニシナイ。
 けれどまぁ、臭いので洗うことにした。
「じゅばびびびぶぶううぶぶ」
「何言ってるかわかんないわ」
「ぼぼぼぼじゅごじゅびじゅば」
「あんだって」
「ぶはっ! アンタあたしはエビアンしか飲まないのよ!」
「知るかクソババァ!」
 結構楽しかった。 


 あたしの名前はやっぱり涼宮ハルヒ!
 朝起きたら左手がキョンになっていた……え? ちょ、タイム!

「……どういうことだ」
「あたしにも分からないわよ」
 随分ちっさいキョンはこの世の終わりみたいな顔をしている。
 気持ちは分かるけど、あたしにもどうなってるかさっぱり分からない。
「……長門に相談してみよう」
「有希? どうして?」
「なんとかしてくれそうだろ」
 それもそうねぇ、と納得する。
 あたしはパジャマから制服に着替えるために……って、
「こら、振り回すな……!」
 あたしはおへそを全開にしたところでハッとした。
「あんたこそ見ないでよ! えろキョン!」
「見れるか! 三半規管がどうかなりそうだ……」
 青白い顔のキョン。
 ……うーん、どうしよう。
 とにかく右手だけで着替えましょう。
「左手はなるべく動かさないから、目つぶってて」
「わかったよ……」
 げんなりしてキョンは溜め息をついた。
 
「……どうした?」
「おしっこしたい」
「は?」
「だからおしっこしたい」
「……俺が元に戻るまで、」
「我慢できない」

「いい、分かった?」
「あぁ」
「ほんとーに、分かった?」
「……このティッシュで作った耳栓して、上から手で耳を塞いで、目はテープで止めて。
 それでお前の小便の音やらを聞かず見ぬすればいいんだろ。分かってるよ」
 げんなりして肩をすくめたキョンがくっついた左手を振り回した。
「……なに、す、てめ」
「ばかばかばか! デリカシーって言葉知らないの!」
「ちょ、ま……じ」
「変態! バカ! しね! あほ!」
 そうやって羞恥だか怒りやらでぶんぶん振り回しているうちに、
「……」
「あ」
 キョンは青ざめた顔で気絶してしまった。
 どどど、どうしよう。
 いえ、ううん。ここはとにかく今のうちにお花を摘んでおくのよ!
「ふうぃー」
 ちょろちょろりーんと。
 何とか上手く切り抜けれたわ。
 がらがらとトイレットペーパーを巻き取り、あとは拭くだけ――って、
「ああああああああああっ!?」
 左手で
 やって
 しまった
「……ん、んん?」
「わぁ! ばか! こんなタイミングで起きるな!」
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# by kyon-haru | 2005-05-12 23:29

アナル超闘志列伝古泉

 アナル超闘志列伝古泉

 偶然前後ろの席になった美人な涼宮と良い感じに談笑してるときだった。
 休み時間。がらっと扉をあけて入って来たそいつは、全裸だった。
 ……警察に通報かな。
 ハルヒの眼を手で覆いつつそんな事をかんがえていたら、
 そいつはあろうことか俺の近くにやって来て、こう叫んだ。

古泉「ないんだったら作ればいいんです!」
古泉「……何をだ」
古泉「アナル部よっ!」

 とりあえず俺はソイツを椅子で思いっきり殴った。
 血が噴水みたいで面白いー!
 とハルヒが上機嫌だ。いやぁ、よかったよかった。


 アナル超闘志列伝古泉2

 良い感じに付き合うことになったハルヒとデートしているときだった。
 夕方の公園でチューなんぞに励んでいたら、
 何時ぞやのソイツが突然草陰から飛びだした。全裸で。

古泉「キョン君、お話することがあります」
古泉「……なんだ」
古泉「私は、全宇宙のアナルを統合する肛門菊門統合体によって作られたアンドロイドなんです」
古泉「……保留で良いですか?」
古泉「本当の年齢だけは禁則事項です!」

 とりあえず俺は蓋を開けてない缶ジュースを思い切り投げつけた。
 この痛みがすんばらしぃぃぃぃっ!
 と叫びつつ、ソイツは噴水のように血を噴出しながら倒れた。
 わき腹にトーキックを連発しているハルヒは楽しそうだった。いや、よかった。


 くそみそアナル紳士古泉

 素晴らしい感じに俺の家でハルヒとペッティングなんぞかましていたその時だ。
 キョンの部屋に入ったときから私こんなになっちゃってたの……、と
 致死量的に可愛いハルヒのその向こう。二階の窓。
 なんとなく来るんじゃないかなぁ、と思っていたらソイツはやって来た。
 窓をぶち破り、全裸の体中に切り傷を作りながら。

古泉「貴方を殺して涼宮ハルヒの出方をみr

 言いきらないうちに、俺はソイツを窓から放り投げた。

古泉「無駄無駄ぁっ! この空間は僕の情報せいぎゅぐぶるぅわっ!?」

 アスファルトに激突して色々ぶちまけるソイツ。
 胸を手ぶらで隠し、泣きながら鉄アレイなんぞ投擲して
 ソイツのドタマをかち割るハルヒは楽しそうだった。いや、よかった。 
 

 アナル王古泉のドリチン合唱際

 ラブが激しくて学校のトイレの個室の便座に座った俺の目の前で、
 制服をはだけさせたハルヒが
 誰か来るかも、って思っただけで私こんなに……ねぇ、キョン……
 なんぞ囁きつつ下着を下ろしたその時だ。
 隣の個室からソイツの叫びが聞こえてきた。

古泉「い、い、いつきの、きんたまんまん!」
古泉「い、い、いつきの、きんたまんまん!」
古泉「揉むだけでこの快感っ! こいつはスゲェーッ!」

 俺と般若のような顔をしたハルヒはバリケードを構築してソイツを閉じ込めると、
 上から水をかけたり、その辺の物を投げ入れたり、など色々したが

古泉「い、い、いつきの、きんたまぁんっ! まぁんっ!」

 叫び声は大きくなるばかりなので、
 窓を密封したのちサンポールを危険配合させてトイレを出て、扉も密封した。
 まだまだネタはあるが疲れてきたと、ハルヒは泣いた。
 泣き顔にキスをした。とたん機嫌を直したハルヒは可愛かった。いや、よかった。
 

 ホップアナップ古泉くん

 ロマンスのジャーニーの末、ついに俺の腰の上にまたがったハルヒが、
 いっぱい出してくれてありがと、キョン……
 なんぞ背筋がぞくぞくしそうな顔で微笑んだ時だ。
 貸し出しのバスマットとローションを手に従業員に成りすましソイツは来た。
 チンコにリボンを巻いて。

古泉「どうかなっ! めがっさ似合ってると思わないかいっ!?」

 ぴこぴこぴこ。
 ラッキー君だにょろよー。

 あふぅん、なんてハルヒの喘ぎ声をバックに息子さんを引き抜いた俺は、
 ハルヒが痴漢撃退用に持っていたスタンガンの出力を最大にして、
 ソイツのきんたまんまんに押し当てた。

古泉「しびれるぅ! あこがれるぅ!」

 尿道から黒煙を噴出しつつ、ソイツは倒れた。
 無表情でソイツの頭を電話機でガンガン殴るハルヒは楽しそうだった。
 脳漿ぶちまけろ! 本当に楽しそうだ。
 いや、良かった良かった。 


 アナルの使い魔

古泉「良い感じにキョンタンの家でキョンタンとビューティフルドリーマーしていたその時だ」
古泉「お前のマッガーレ半端ねぇよ、勘弁してくれ……、と」
古泉「キョンタンがアナルから白濁液をたらしながら懇願していたそのアナル」
古泉「ぶりり! というハードロックと共にソイツは飛び出した。黒くてかりながら」
古泉「それが僕のマッガーレです」

看守「うるぜーそ! このソチンカスが!」


古泉「誠にもうしわけゴザーセン」


 超人変態古泉マン

 放課後の部室で二人きり。
 コスプレしたいけど指怪我して着替えれないの……
 だから、キョンが着せて? 好きなの着せて良いから……
 と妖艶に微笑むハルヒでリアル着せ替え人形ごっこなんぞをやってたその時だ。
 ガタガタと掃除用具箱が超振動し、ソイツが中から飛び出した。
 全裸にめがねだけを装着して。

古泉「めがねは無い方が可愛いと思うぞ……」
古泉「俺、アナル属性しか無いし」
古泉「アナル属性?」
古泉「忘れるな。大事なことだ」

 俺とハルヒはパイプ椅子でソイツを滅多殴りにした。
 指を怪我してる割にはハードアタッカーなハルヒの顔は輝いていた。負の光で。
 あらゆる穴から血を流しながら、

古泉「マッガーレの再構成を……」

 などと呟くソイツにハルヒが熱湯をぶっかけてトドメを刺した。
 めちゃめちゃ楽しそうだな、ハルヒ。いや、良かった良かった。


看守「脱獄アーッ!?」


 ガチャピンと古泉の開けアナッルッルー

 ハルヒの頭の上にチンコを置いてちょんまげなんぞやってたその時だ。
 おれの頭の上に生暖かい感触が襲ってきた。

古泉「ちょんまげ!」

 今日も世界は平和だ。








谷口「ちょんまげ!」


 アナル淑女長門

 偶然二人きりになった部室で朝比奈さんと良い感じに談笑していたその時だ。
 彼氏居ないんですか? 居ないです。でも好きな人なら居ますぅ。
 頬を染めて俯いてしまった朝比奈さんのちらちらという視線。その後ろ。
 部室の扉をばぁんとあけて、開脚前転しながらソイツは飛び込んできた。
 全裸で。股の合間で禁則事項が光っていた。

古泉「長門さんを期待した貴方なんかオシオキですよ! パピ、ヨン!」
古泉「全裸なのは宇宙人対策よ。いつ気づいたの?」

 気がつきたくもない。と俺はソイツを掃除道具箱に閉じ込めた。
 ホースで水をかけっぱなしにしたり、金属バットでガンガンガンガン。
 
古泉「********したら******はしんじゃ*****アアァァァ****らめぇ」

 未来の光線銃を乱射する朝比奈さんは可憐だった。
 いや、癒されるなぁ。

ハルヒ「浮気は死刑なんだからっ!」

 逃げろ!


 古泉危機一髪

 私は糞変態野郎を呼び出した。服を着て来いというメモつきで。
 何本目かのセーラムライトを吸い潰したその時だった。
 雨の校舎裏。人気も人の眼も何も無いところに、ソイツはのこのこやって来た。

古泉「朝比奈さん、いったいどんな御用ですか」
古泉「あと全裸は僕たちの機関の正装なんですよまったくアナルアナル!」

 酷く頭のイカレタことを言いながら、ソイツは何故か憤慨しているようだった。
 腰をくねくねさせている。気持悪い。吐き気がする。
 懐に忍ばせた未来式高周波振動ナイフの重みを感じながら、
 私は新たなセーラムライトに火をつけた。

みくる「一本吸う間だけ時間をやる。命乞いをしろ」

古泉「ワット? 意味不明ですモンモランシー!」

 驚いているソイツにお構いなしに、私は煙草を吸う。
 ナノコーディングされた肺はいくら吸っても発ガンしない。汚れることもない。
 ニコチンが良い具合に頭に回るのを感じながら、右手でナイフの柄を握った。
 振動スイッチを入れる。

古泉「こ、この音は! バイブですね! ズバリ! いやっほう!」 

みくる「続くわけがないだろう」

 一方そのころ長門有希は自宅でカップラーメンを食っていた。


 無題

 俺とハルヒは同じ大学に進学し、卒業と同時に結婚した。
 俺はどうして在学中に書いた小説が新人賞にひっかかり小説家に、
 ハルヒは大手の製薬メーカーの研究職につき、ガンやパーキンソンやエイズの特効薬を作るのだと意気込んでいる。
 クリスマス。雪が降るホワイトクリスマスその時だった。
 リーガロイヤルホテルを予約していた俺たちは梅田の街を幸せ一杯で歩いていた。
 賑やかな喧騒と恋人たちに溢れる街。その片隅にソイツは居た。

古泉「……ぼ、ぼぼぼぼ僕はあぁぁ、あな、あなっる星のお、おおっ、おうじぃ……」

 全裸で。体中に怪我を負い、寒さに震えながら、廃人のような顔で。
 煙草の吸殻やゴミに紛れながら、ソイツはまだ夢の中に居た。

古泉「あ、あぁぁぁぁ、き、ききききょんさささ、さあさあああ……」

 俺はソイツに近づいていた。ハルヒは嫌がったが、渋々ついてきた。
 首にまいていたマフラーをソイツに巻いてやる。ぽんと肩を叩き、腹に力を込めてこう言った。

キョン「現実に帰ろう」





古泉「というドリームを見ましたフヒヒ!」 


 46サンチ古泉砲

 良い感じにハルヒにホルスタインと何をしてたのと問い詰められていたその時だ。
 ホルスタインってあんまりじゃないか――といえばボディブロー。
 話しをしていただけで愛してるのはお前だけだよ、といえばうっとりとしてキス。
 何だか最近投下してないヤンデレみたいだな、と思ったその矢先。地面の中からソイツは飛び出した。
 勿論全裸で。もぐらかよテメェは。

古泉「遅い! 罰金!」
古泉「あんたみくるちゃんに何したのよ!」
古泉「あんた有希に何したのよ!」
古泉「……でもアタシにだったら何しても良いわy

 いい終わらぬうちに、ソイツはバールみたいなもので頭蓋を破壊された。
 ハルヒ。いくらなんでもそれは、と言おうとして止めた。
 脳漿と血飛沫に塗れたハルヒは楽しそうだったし、
 ソイツは明日になればどんな傷でも治っているだろうから。
 いや、良かった。 


 アナル掘りと少年

 良い感じにエロスな夢から覚めたその時だ。
 痛いくらいにいきりたっていた俺のハープーンに感じる柔らかい感触。
 扇情的な顔をしたハルヒの下がいやらしく絡まっていた。
 ……キョンが寝てる間に練習しようと思ったのにぃ
 脳髄が蕩けそうな俺は全裸だった。
 どこでもドアから出てきたそいつも全裸だった。

古泉「また一緒にハッテン場に……」

 俺が動くその前に、どこでもドアの向こうから青い狸が出てきて、
 ソイツに空気砲を滅多くそに撃ち込んだ。
 血反吐を吐き散らしつつ、ソイツは狸に連れられてドアに消えた。
 いきなり繰り広げられたSF変態活劇をお構い無しに、
 ハルヒは行為を続けていた。
 どうやら慣れたらしい。いや、良かった。
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# by kyon-haru | 2005-05-12 23:26

あなたが安心して道を渡れるように

 基本的に俺は善人である。反論させん。
 だからして、信号の無い横断歩道を横断できずに困っているおばあさんを見かけたら、
「一緒に渡りますよ。おばあさん」
 そんな風に優しく声をかけて一緒に渡ってあげるのは当たり前だ。
 小学生のように片手をかかげ、おばあさんの荷物を片手にゆっくりと歩く。
「すいませんねぇ、ありがとう」
「いいんですよ。これくらい」
「ううん。ほんとうにありがとうね」
 年のころは70台……いや、60台かもしれない。随分とかわいらしいおばあさんだった。

 お礼に是非お茶でもどうですかとせがまれて、断れるはずがない。
 おばあさんには何か用事があるんじゃないか?
 と少し気がかりはあったものの、多分用事は終えての帰り道なんだろう、と勝手に納得。
「ここはあたしの二つ目の故郷みたいなところでねぇ」
「ということは、今は違う場所に住んでられるんですか?」
 おばあさんはホットティーを、俺はアイスティーを飲みつつ談笑する。
「うん。そうだね。とっても遠いところだね……」
 その遠いところがどこか聞いてはいけないような気がした。だから聞かなかった。
 そんなおばあさんの、どこか寂しい表情だった。

 ――そうして気がつけば、俺はおばあさんと散歩をしていた。
 たまにはこういうのも悪くない。むしろ気持ち良いくらいだ。と思う。
 川沿いの桜並木を歩いて、公園へ。ゆっくりと歩いて、ベンチで休憩することにした。   
「……何か飲みますか? 買ってきますよ」
「いいや。もう十分。……今日はほんとうにどうもありがとうね、キョンくん」
 腰を浮かしたところで、そのまま固まる。
 懐かしむような、尊い聖歌を歌うような声音だった。
「……どうして、俺の渾名を知って、」
 いるんですか、と続けられなかった。いや、続けなかった。
 その舌足らずな響き。それに俺は酷く心当たりがあったから。

「……」
 腰を下ろす。心なしか鼓動が早くなっているような気がした。
 おばあさんは、落ち着いて喋りだす。
「……最後に貴方に会えて、本当に良かった」
「さいご、って」
 俺の問いには答えずに、
「あたしは頼りないただのお嬢ちゃんだけど、優しくしてくれて本当にありがとうね」
 かわいらしいおばあさんは可愛らしく、天使のように微笑み、

「皆によろしくね。キョンくん、たくさんごめんね。たくさんありがとう――それと、」

 朝比奈みくるは、貴方のことが好きでした

「……っ」
 目を開けていられないほどの風が吹いた。
 季節外れのつむじ風――それに紛れるように、
「……」
 俺の隣から人の気配が消えていた。
 それから辺りが暗くなるまで、俺はただ空を見上げ、ずっとベンチに座っていた。



「あの、朝比奈さん?」
「どうしたの、キョンくん」
 翌週の、最初の部活の日。
 俺は彼女が着替え終わるのを待って、退室してきたところで声をかけた。

「今度の休み、俺とデートしてくれませんか?」

 はじまりと終わりのあの公園に、行きましょう。
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# by kyon-haru | 2005-05-12 21:11